NEW POST

森と人

美しい森を作り、楽しみ、繋いでいくこと | 霧島ジオパークガイド養成講座アドバイザー 奥村健一郎さん

山・渓谷など自然の中を歩いて”どんなことを楽しむか”は、人それぞれに多様な楽しみ方が存在しています。また、その時の気分によっても自然の中を歩いてどんなことを楽しむかは異なります。 時に僕らが自然の中を歩いて楽しむ魅力は、知って・学んで・考えること。
今回はそんな魅力を霧島ジオパークガイド養成講座アドバイザーを務める奥村健一郎さんに”ひなもり台県民ふれあいの森”をお供させていただきながら、改めて実感してきました。

奥村さんについて

ご一緒させていただいた奥村健一郎さんは、霧島ジオパーク推進連絡協議会様のご紹介でお会いさせていただきました。
奥村さんは霧島ジオパークのガイド養成講座のアドバイザーや、宮崎県環境保全アドバイザーを務めており、植生や地質などを含め自然全般に詳しい方であり、現在の”ひなもり台県民ふれあいの森”の礎となった宮崎県青少年研修の森にて”自然の保護と創出”を理念に青少年への自然環境教育、自然環境保護活動への理解を深めるための社会教育活動、森の育成や景観育成管理などに従事されていた方。
そうしたご紹介を受けておりましたが、実際にお会いすると自然への造詣が深いだけでなく、訪れる方々への感動を提供する大切さや、観光への利活用の必要性、そして今僕らが取り組むべきことへの考え方など、本当に参考になる話ばかりの貴重な意見をお持ちの方だという感想を抱きました。

上の写真は昭和天皇が植樹された杉。
ひなもり台県民ふれあいの森の礎となった第28回全国植樹祭が開催された宮崎県青少年研修の森で、当時にこの場所で公園の管理や維持などに従事されていたのが奥村さん。

イベントなどでご一緒できる機会があれば、是非皆様にも一緒に楽しんでいただきたいなと感じますし、僕らもこうした専門家の方々とお客様が触れ合って楽しめるような企画を考えたいなと思っております。(ので、落ち着いたら考えるようにいたします)

森を作ること

今回、奥村さんと霧島ジオパーク推進連絡協議会の方々と待ち合わせた駐車場から「森を歩きながら色々な話を」とスタートしたのですが、スタートした駐車場から周囲の森を眺め「以前、この辺りは開発によって木々がなく、展望の開けた場所だったんです」と説明をいただきます。

上の写真がその地点。今では霧島山系に多く見られるアカマツの木々をはじめ、豊かな森となっていますが「霧島の植生を理解し丁寧に育んでいくことで50年も経たずにこんなしっかりとした森になるんです」と話してくださいます。
造林の仕事に携わる方であれば見慣れた光景かもしれませんが、改めてその年月を聞くと「荒廃した森も、しっかりと手入れしていくことで、こうした豊かな森を残していけるのか」と、そんな思いに駆られます。

人が正しい知識を持って手伝うことで、より良い森へ

実際に当時の森作りの話や、植生などの話を聞かせていただきながら奥村さんが携わった森を歩きます。

森の保全をされる多くの方が同じように話してくださいますが、奥村さんも”この森に元々ある植生を大切に育てて森を作ること”の大切さを話してくださいます。
例えば霧島山系でよく見られるアカマツについても、なぜこのエリアではアカマツが多く育っているのか。どんな環境でアカマツは芽吹いていくのか。また、落葉広葉樹や常緑広葉樹の下ではどんな森となるのかなど、実際に目の前に広がる森の風景を見ながら「良い森とは」ということを話していただくという贅沢な時間を。

そして実際にフィールドを歩きながら、この森に存在する木々の幼樹を探して説明していただいたり、木々がどうやって子孫を増やしていくのかという過程も、実際に足元にあるものを使いながら話してくださいます。

上の写真は実際に幼樹の説明をしてくださっているところですが、これがアカマツで、これが杉、これがモミの木で、これがモミジなど、足元に芽吹いた実際の植物を見ながら説明してくださいます。

「こうして森に存在する様々な樹木・植物などをしっかりと理解して、快適に成長ができるように少し力添えをしてあげることで、本来は長い時間を要する森作りも、少し早くなるんです」と、自らが育てた木々を眺めながら「この子はね…」と嬉しそうに話してくださいます。
余談ですが、僕らが話を伺う森づくりや環境保全を行う多くの方は、木々を眺めながら「この子、あの子」と嬉しそうに語ってくださいます。

訪れる方々の目線

そして観光としての利活用として、訪れる方々が楽しみ感動してくれる森の風景という目線での森についても語ってくださいます。
例えば下の写真では「この木は秋になると葉が美しく紅葉し、訪れた方に秋を感じていただくのにも良い木で、しっかりとここで育っていますね。残念ながら伐採した木が積まれていますが…」と話してくださっている場面。

僕らも仕事柄、頻繁に色々な地域に出かけ山間部を運転して移動しますが、その道中の風景というのは地域の魅力を感じるにあたって、山の道と同様に、とても大きなポイントのひとつです。
手入れが行き届いた町や草花、規則正しい生活が垣間見える美しい住宅や道、歓迎されているかのような印象を持つ場所などは、やはり「また行きたいな」と感じる風景であり、反面、ゴミが散乱していたり、全く手入れのされていない場所などを見ると「残念だな」と、そんな印象を抱きます。

奥村さんは、訪れるまでの道中の風景、車を降りて森を散策する際の風景、ひと休憩を入れる時に目の前に眺める風景など、観光やリフレッシュとして訪れた方が大切な時間を楽しみ、感動していただけるための目線を大切にされており、話を聞くごとに感銘を受けます。

目指すべき”オンリーワン”な森や風景

「山を歩いて楽しむことと同様に、森づくりにおいてもナンバーワンを目指して競い合うのではなく、オンリーワンな風景こそに魅力があるのだと思います」と話してくださる奥村さん。


写真は当日に麓から撮影した高千穂峰ですが、霧島山系は大昔から火山と共に生活してきたエリア。だからこそ”ここでしか見れない植生や風景”というもの、そしてその土地ならではな暮らしや食事など、様々な”オンリーワンなもの”が存在し、そうした風景が訪れた方に感動を届けるのですと話してくださいます。

知識を有した方の減少

“良い森の定義”というのは人や地域によって異なる点もあるかもしれません。人の手の入っていない原生林、人と森とが共存しお互いに恩恵を受けている森など、時にその地域の文化や風習によっても異なるものだと様々な地域を訪れて感じます。
その中でも多くの方が仰るのは、その土地の風土や文化を理解し、その土地の木々をしっかりと育てていくことの重要性を話してくださいます。

「”良い森”を育んでいくための人材が足りていない」と、これからの課題についても話してくださいます。
奥村さんはすでに、ひなもり台での勤務は退任され、自然や植生の観点などからアドバイザーという立場で尽力されていますが、森に対する知識を有して適切な判断が出来る人材の育成や採用が不可欠だと語ってくださいます。
この点においては森の育成だけでなく様々な面で、他の地域でも同様の声を耳にする機会が多く、高齢化・人材不足などは大きな課題となっていることが伺え、自然を楽しむ僕らと専門的な知識を有した方々とで取り組めることがないだろうかと、霧島ジオパークの方々とも話をすることがあり、引き続き小さなことから取り組めることを見つけて行きたいと思っている次第です。

点として存在する”良い資源”を

「宮崎はね、良いものがたくさん存在しているのです。でもそれが点として存在し、線や面となっていないのです」
そう話してくださる奥村さんですが、実は僕も本当に同感なポイントです。

良い森、良い人など、様々な良いモノはあるんです。しかしながら、それが点在しているだけで線や面となって繋がっていく必要があると感じるのですと話してくださいます。
僕らも店を営む日々の仕事とは別に、そうした状況を変えていく糸口になればと様々な方にお会いしてお客様に紹介したり、山や山間部を楽しむ上での色々な付加価値をお届けできるように努めていますが、最近ではお客様からも「一緒にアクションできること」について相談をいただく機会も増えてきました。

山を歩いて楽しむ方、渓谷で釣りをして楽しむ方、花が好きな方、昆虫が好きな方、山での仕事に従事される方、調査研究を行う方、そして奥村さんのように専門知識を有して森を育むことができる方、さらには新たな繋がりを作ってくださる霧島ジオパーク推進連絡協議会の方々と、今ある良い資源が”より良い形”となり、次の世代の方々へ繋ぐことができたらなと、そんなことを改めて実感する素敵な時間を過ごさせていただきました。

実はその他にも「ガイドってさ」であったり、「山ってさ」「アウトドアってさ」などと、いろんな話を楽しませていただいたのですが、また折りをみて色んな話も掲載できればと思います。
また山や山間部にお出かけの際は、是非足元の小さな植物や自然などにも目を向けて、皆様の楽しみや感動がより深く楽しいものになれば光栄です。

貴重な時間を割いていただいた奥村さん、そして貴重な機会をいただきました霧島ジオパーク推進連絡協議会の皆さま、本当にありがとうございました。


SUPPORTをお願いしております

お店の運営と並んで、宮崎県の山に関する様々な話を皆様にお届けできますよう、ご覧いただいて「面白かった」「参考になった」「頑張れ」などと感じていただけた方にサポートをお願いしております。
サポートいただいた金額は取材に関する経費などに使用させていただきます。

SUPPORTに関する内容は以下のリンク先に掲載させていただきました。

コメント

この記事へのコメントはありません。

RELATED

PAGE TOP