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えびのエコミュージアムセンター 須田さん | えびのエコミュージアムセンターの仕事と霧島の自然

僕らが歩いて楽しむハイキングコースの多くは、誰かが開拓をされた経緯があったり、誰かが整備を行っていたり安全を管理したりするものですが、韓国岳や高千穂峰など人気の山が存在する霧島山系では多くのコースを”えびのエコミュージアムセンター”の方々が山を歩いて楽しむ方々の蔭で整備や安全管理などを行なわれています。
今回はそんな”えびのエコミュージアムセンター”の須田さんに、改めてエコミュージアムセンターの仕事や霧島山の自然について話を伺ってきました。

打ち合わせ前にぶらり野鳥探し

打ち合わせ場所は”えびの高原”
せっかく訪れるなら少し早めに出かけて霧島をぶらりと歩きながら野鳥でも探そうと、早朝に出発して池巡りコースなどを歩きますが、普段はホオジロが目立つ印象のコース上にモズがたくさん。

「珍しいなぁ」なんてスタッフと話しながら野鳥探しを終えて”えびのエコミュージアムセンター”に向かいます。
今回は以前にご紹介した霧島ジオパーク推進連絡協議会の図師さんや、新たに配属になられた方も同行いただいて、エコミュージアムセンターの須田さんの話を伺いますが、奇遇にも「昨日からモズがたくさん来ていて、なわばり争いか分からないが賑やかなんですよー」と、須田さんがモズの話をしてくださいました。

山の自然を見ている方々の見る目線や、感じる自然の変化を垣間見るのは個人的にとても好きなのですが、つい先ほど眺めていたモズのことが話題に上がり、嬉しい打ち合わせのスタートです。

遊ぶ力に長けた方

個人的な意見ですが”えびのエコミュージアムセンター”の須田さん、”霧島ジオパーク推進連絡協議会”の図師さん、まだご紹介できていない方もいますが、遊ぶ力に長けた方の仕事や話は本当に興味深く、面白いものです。
僕らも含めていずれも山や自然に関わる仕事なので、そうした方々が集まると何とも面白い話に賑わい、山・自然・環境保全・野鳥・花・虫・地質・火山・地層など、山遊びをしない方からするとマニアックすぎる話に賑わいまして、根っからの自然好きと言いますか、遊ぶ力に長けた方特有の魅力があり、”一般的”にはマニアックと言えるような話をしていて嬉しくなります。

えびのエコミュージアムセンターの仕事

前置きが長くなってしまいましたが、”えびのエコミュージアムセンター”の仕事と言いましても、箇条書きのように紹介することは少し難しく、大雑把に言えば登山やハイキング・観光などで活火山帯である霧島山を訪れる方々が安全かつ快適に楽しめるためのあらゆる業務に加えて、霧島山の自然や環境保全に関するあらゆる仕事と言う方が早いような仕事です。

毎朝の気象台との情報交換

僕は知りませんでしたが、毎朝出勤すると気象台と電話でのやり取りを行い、火山性地震の回数や風向き、風の強さなど霧島山の安全に関する情報チェックを行い、関係市町村への伝達なども行われているそうです。
安全性をチェックするレベルなどについては気象台が管理を行っており、登山道の規制などは各市町村が行う形となっているそうですが、活火山帯ならではな仕事のひとつです。

登山道の整備

そして荒れてしまったり、傷んでしまった登山道の修復や整備の作業も仕事のひとつ。近年ではアクティビティを楽しむ方であれば耳にすることも増えたと思う”近自然工法”という工法での整備を学びながら、それを霧島山に合うようにフィットさせながら試行錯誤されており、それにより、より自然に近い外観を修復できると共に長く維持ができるような工夫を行われています。

なお、登山道の整備において霧島山ではコース毎、または区間毎に管轄する組織や市町村が存在していますが、各組織や市町村から須田さんたちが整備依頼を受けて整備に出向くことが多いという流れで、管理を行うのは”鹿児島県”・”宮崎県”・”環境省”・”霧島市”・”都城市”・”小林市”・”えびの市”など。そうした団体から依頼を受けて整備に出向く形式となっているようで大体8本のコースの整備に携わっているとのことです(2024年4月時点)。

Interpreterとしての役割

まだまだ九州では、自然から人への橋渡しとしてInterprerterの役割が弱いと語ってくださる須田さん。これは僕ら店も同様に常々課題として考えていることですが、自然の様々な楽しみ方や姿・変化していく自然や、各地域毎に存在する魅力など、山や山間部では知ると面白い事項や興味深い内容が非常に多く存在しています。
最近ではお客様の中でも、そうした様々な自然の姿や動植物などを楽しむ方や、環境変化を知ろうとする方も増えてきたように思いますが、僕らがこのWEBサイトを更新している理由も、伝えるべき魅力や人の姿があると考えて更新しています。
だからこそ各地域にいらっしゃる須田さんのような有識者の方と意見交換や情報交換を行うことで、山や山間部での様々な楽しみ方や自然の変化、それを守るべく奮闘されている方々の素晴らしさなどに焦点を当てて多くの魅力に触れていただければと願っています。

そしてInterpretationの重要性については、同じく霧島ジオパーク推進連絡協議会の図師さんもよく仰ることで、同じ霧島山系の中で意見交換や課題の共有が行われているのだなと実感します。

自然を知ることで大事なものを理解して、大切にする工夫を

山頂を目指して山に登るのもひとつの楽しみ方ではあるが、花・野鳥・樹木・昆虫・動物など、それ以外にもたくさんある山の楽しみを知っていただけるようにと願う須田さん。それは自然を知ることで大切なものを理解して、必然的にそれを大切にする工夫がみんなに生まれるという想いからで、登山道を逸れて歩くことや登山道を荒らしてしまうことも植生や昆虫に興味があれば必然的に避け、登山道のダメージなども考えるようになるはずと語ってくださいます。

また須田さんの務める”えびのエコミュージアムセンター”では、自然と日々の暮らしの距離感をみんなで共有できるように、自然の変化や気づきを職場の日常会話の中に積極的に取り入れるようにされているそうです。
例えば簡単なところで言えば天気や気温、そして花の開花や香り、野鳥の訪れやさえずり。そうしたものを記録するついでに、職員同士の会話に積極的に取り入れることで、自然の恩恵や変化に気づきやすく、かつ愛着や知識の向上にも役立つと話してくださいました。

僕らもよく提案する内容ではあるのですが、実は霧島ジオパーク推進連絡協議会の図師さん然り、山に関わる多くの方が同じことを仰いますが、それは整備や保全に関わる方同士の共通した想いだなと感じ、僕らはそうした方々が喜ぶ楽しみ方を推奨していければなと毎回思うのであります。

霧島の自然と、ひとりひとりに出来ること

最後に霧島山の自然で感じることや、アウトドアを楽しむひとりひとりにできることなどについて、日頃整備に携わる須田さんに伺いました。

霧島の自然

自然の変化に”良い・悪い”の判断は難しいけれど、例えば白髪岳など鹿の食害被害により大きく景観が変わり、以前の光景が思い出せないほどです。だからこそ、記録をとってデータとして蓄積していくことの重要性を近年重要視しています。また、霧島の山全域を見ても登山者の増加や異常気象により登山道が崩れやすい状態になっている箇所も目立ちます。
反面、環境意識が高くなったと感じる面も多く、関わりたいという方も増えた今は、自然をより良い方向へ進めるためのチャンスだとも感じています。と話してくださいました。

ひとりひとりに出来ること

そして僕らもお客様からよく質問をいただく事項で”ひとりひとりに出来ること”について質問をさせていただくと、具体的な作業についてよりも、自然や環境に配慮した楽しみ方や、様々な山の楽しみ方など、全体のマナーやモラルが向上し、自然を楽しんでもらえる方を増やしていただければと、そんなお声をいただきました。

ごく普通の美しさも記録にとっておくこと

最後に「今僕らが見ている”ごく普通の風景”も、記録にとっておく必要があるかもしれませんね」と語ってくださいました。
様々な要因で自然や環境は常に変化し、ごく普通に見ていた風景も年月が経過していく中で”見ることができないもの”になってしまうかもしれません。山や自然を訪れた際は、いろいろな物に目を凝らして、観察や発見を楽しんでいただければ嬉しく思います。

今回は霧島山の保全などに携わる”えびのエコミュージアムセンター”の須田さんの話でしたが、多くの山や自然のフィールドに、こうして保全などに懸命に取り組まれる方々の姿が存在しています。アウトドアのアクティビティを楽しみながら、そうした方々への感謝を大切に良い時間を過ごしていただければ幸いです。

また、その他にも須田さんの遊び方や自然を見る目線など、まだまだ素敵な魅力もありますので、折を見てまたご紹介させていただきたいと思います。


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